AC/DC - Let There Be Rock

「Let There Be Rock」(77) のタイトル・トラックを私訳

「Let There Be Rock」(77) のタイトル・トラックを私訳。ボン・スコットが書いた「ロックン・ロールの誕生」を歌う " Let There Be Rock " の歌詞を読むと、彼のストーリーテラーとしての軌跡を辿るようでおもしろい。この曲はライヴではとても長いバージョンとしてセットリストの後半で演奏されますが、アルバムで聴くよりずっと強力な仕上がりになっています。特にスティッフ・アッパー・リップ・ツアーの時からセッティングされた、客席へと張り出した「花道」でのアンガスのギター・ソロは素晴らしく、カッコイイ d^^b

" Let There Be Rock "

In the beginning
始まりは
Back in nineteen fifty five
1955年
Man didn't know 'bout a rock 'n' roll show
人はロックンロール・ショーもジャイヴすることも
'N all that jive
知らなかった
The white man had the schmaltz
白人は感傷的なことに酔いしれ
The black man had the blues
黒人は憂鬱に打ちのめされていた
No one knew what they was gonna do
どうすればいいのか分かる者など、いなかったのだ
But Tschaikovsky had the news, he said
しかしチャイコフスキーに天啓があり、彼はこう言った

Let there be light, and there was light
「此処に光を!」・・・するとライトが差し込んだ
Let there be sound, and there was sound
「此処に轟きを!」・・・強力なアンプが
Let there be drums, there was drums
「此処に鳴動を!」・・・ドラムが
Let there be guitar, there was guitar, ah
「此処に稲妻を!」・・・エレクトリック・ギターが
Let there be rock
こうしてロックが授けられた!

And it came to pass
遂に実現したのだ
That rock 'n' roll was born
ロックン・ロールの誕生が
All across the land every rockin' band
やがて国中の全てがロック・バンドと化し
Was blowin' up a storm
嵐を巻き起こした
And the guitar man got famous
ギタリストは有名になり
The business man got rich
ビジネスマンは裕福になった
And in every bar there was a superstar
あらゆるバーにはスーパースターが
With a seven year itch
「7年目の浮気」と共に居た
There was fifteen million fingers
そして1500万本の指が
Learnin' how to play
ギターを弾くことを学び
And you could hear the fingers pickin'
その指がピッキングするのを耳にすることができた
And this is what they had to say
そしてギターを抱えた彼等が、こう言った

Let there be light,
此処に光を!
sound,
バカでかい音を!
drums, 'n guitar, ah
ドラムとギターを!
Let there be rock
此処にロックが授けられた!

One night in a club called the Shakin' Hand
ある晩、シェーキン・ハンドと呼ばれたクラブに
There was a forty-two decibel rockin' band
42デシベルのロック・バンドが現れた
And the music was good
その音は心地よく
And the music was loud
その音はバカでかかった
And the singer turned and he said to the crowd
やがてシンガーは振り向くと観客に向かって、こう言った
Let there be rock
此処にロックが授けられた!


Live At River Plate 2009

少しだけ歌詞を考えてみる


● " Let there be "
Let there be light, and there was light
Let there be sound, and there was sound
Let there be drums, there was drums
Let there be guitar, there was guitar, ah
Let there be rock

歌詞のこの部分では前と後ろで同じことが繰り返されているけど、この前半の部分はチャイコフスキーが放ったセリフだと解釈。だってボン・スコットは「ロックが生まれる瞬間」をここに書いたのだから、ここの歌詞は天啓を「受けたもの」と「授けたもの」とのやりとりにしたいし、上記の歌詞の一番下の " Let There Be Rock " の部分で「天啓が何を表していたのか」という解釈に持って行きたい。そうすると歌詞の前半は抽象的なニュアンスがいいだろうと思った。考えてみるとチャイコフスキーは天啓を受けたけれど、それは漠然とした内容だったと思えるからね?

だからチャイコフスキーが口にするセリフは抽象的で、結果として天から授けられた具体的なギアを使ってみるとロックが誕生したっていうニュアンスにならないと、最後に「此処にロックが授けられた= Let there be rock 」という解釈にならない。そんなことを考えながらその楽器を表現するニュアンスを出来るだけ古い日本語で探すと、以下のようになった。

Let there be light, and there was light
「此処にを!」・・・するとライトが差し込んだ
Let there be sound, and there was sound
「此処に轟きを!」・・・強力なアンプ
Let there be drums, there was drums
「此処に鳴動を!」・・・ドラム
Let there be guitar, there was guitar, ah
「此処に稲妻を!」・・・エレクトリック・ギター
Let there be rock
こうして此処にロックが授けられた!

ギターのところのチャイコフスキーの表現を「稲妻」としたのは、AC/DCのバンド・ロゴの「/」の部分が「稲妻」だからというのもあって「稲妻」にしてみました。
 
● " seven year itch "
そのまま訳すと「7年間もくすぶり続けている」とも解釈出来るけど、ここはやはりマリリン・モンローの映画「7年目の浮気( 原題: The Seven Year Itch )」としてみました。なぜなら彼はモンローのファンだったし、映画「7年目の浮気」は1955年に公開されているからだ。

●どうしてロックのはじまりが1955年なのか?
ボン・スコットはどうしてこの歌詞に於けるロック元年を1955年に設定したのか考えてみた。恐らくこの年にボンがラジオか何かで衝撃的な曲を聴いたからではないだろうか。それでいろいろ調べてみると、1955年には有名な曲がチャートを賑わしていました。

「Rock Around the Clock」Bill Haley 
「Maybellene」Chuck Berry 

これは強力な曲ですね。そのどちらもが彼等(ビル・ヘイリー、チャック・ベリー)のベストを作るなら選ばれる代表曲でもあるから、リアル・タイムで聴いていた人達からすれば、かなりのインパクトがあったと思われます。またAC/DCというバンド、特にリード・ギタリストのアンガス・ヤングのインタビューを読めば分かりますが、チャック・ベリーの影響が大きい事はよく語られているし、その影響力の大きさは彼等の音だけでなく演奏スタイルにまで及んでいます。

●~ forty-two decibel rockin' band
訳してて少し変だなって思った箇所。
この数値がどれだのものかと調べてみると

デシベル 

(分かり易い個人のページがありましたので、リンクを張らせていただきました)
ここのリストによると42デシベルだと、図書館とか静かな事務所くらいの音ってことになる。でもこれだと静か過ぎるから、他に計算する方法があるのかあるのかも知れません。

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2011/08/15      1970 A AC/DC